東京つばめ鍼灸院長のブログ( ´∀`)

完全無所属、無宗教、東京つばめ鍼灸院長が不定期に更新中。

子午流注について

子午流注は古代中国を起源とする、十二時辰(十二刻限)における十二経脈運行の盛衰について説かれた、取穴法の一学説である。人体の気血は経脈中を流れる時、時間の変化に伴い、その盛衰開闔にも変化を生ずる。そのため、十二経脈の五輸穴を基礎とし、組み…

鍼灸治療にも副作用がある

日本では古来より、鍼灸事故に関する文献が少なく、事故に関する情報が的確に共有されていないため、現在においても類似事故が繰り返されている。中国の某文献によると、世界的にみて、鍼灸事故で最も多いのはいわゆる暈鍼で、刺鍼中や施灸中、刺鍼後にみら…

ぎっくり腰の根因は腸骨筋にあり(ギックラー必読の巻)

毎年、季節の変わり目と年末は、ぎっくり腰患者が増加する。ぎっくり腰が増加する原因は、急激な気候の変化、過労や過食、精神的ストレスの増加、冷え、運動過不足などが影響していると推察される。 最近はギックリ腰専門を謳う鍼灸整骨院や整体院、カイロプ…

臀部痛(お尻の痛み)に伴う症状は深鍼以外では完治しにくい

現代人は運動の過不足、精神的ストレスの増加、食生活の変化などにより、日々様々な身体の不快感や疼痛に悩まされている。特に、ここ十数年、パソコン作業の増加によって、臀部痛や下肢の異常感を訴える患者が増えてきた。 下肢のしびれは、腰椎変性による馬…

首と背中への定期的刺鍼でQOLを大幅に向上させる

頸椎は腰椎と同様、身体における根幹である。特に頸椎は、脳の一部である脊髄が直下へ向かう最初の通過点であり、頭部と体幹部をつなぐ、重要な連絡路であり、様々な大小血管、神経が密集している。 そのため、頸部(首)の異常は、頭部および顔面部の慢性的…

線維筋痛症(FMS/筋筋膜性疼痛症候群/MPS)は適切な鍼治療で改善する

疫学:慢性の軟骨組織のびまん性疼痛を特徴とした疾患。アメリカリウマチ学会が公表している診断基準に基づき、18箇所のうち11箇所に圧痛が見られた場合、線維筋痛症と診断することになっている。20~60歳の女性に多い。リウマチ性疾患に合併することがある…

最新の刺鍼法

中医経典の1つである『针灸大成(針灸大成)』には、“病滞则久留针(病が長引くのであれば、針を長時間留める)”、と記されている。 http://zhongyibaodian.com/zhenjiudacheng/ www.fane8.com つまり、すでに古代中国では、一定時間の留針(置鍼)によって…

難病と常識と鍼灸

ある鍼灸師は難治な患者に直面すると、露骨に拒絶反応を示し、施術者としての本分を放棄する。難局を乗り越えようと努力しなければ技術は向上せず、来院患者数が減少する。結果的に、鍼灸師向けの会員商法や講習会の開催、学術的な分野に特化した役職にシフ…

健康のための5つの習慣(東京つばめ鍼灸WPブログから転載)

tokyo-tsubame89.com 健康のための5つの習慣 健康にとって最も重要なのは、粗食小食を常とし食を慎むことと、心を安らかにし自律神経を安定させること、有酸素運動を積極的に行い、ある程度の筋肉量とその柔軟性を保つこと、睡眠時間帯を一定させ、6~7時間…

受領委任制度が導入された

2019年1月、はり、きゅう、あん摩マッサージ指圧の受領委任制度が導入された。 これまで、一部の整骨院による受領委任制度を悪用した不正請求が後を絶たず、鍼灸業界への導入は絶望的だったが、ようやく導入された。 kouseikyoku.mhlw.go.jp 現在、導入開始…

梨(ナシ)の効用

以前松江に住んでいたせいか、ナシといえば、やはり鳥取県の二十世紀が好みである。 東京のナシといえば多摩川梨が有名で、現在、稲城市に約110戸、日野市に25戸のナシ農家があるそうだ。あまり知られていないが、府中市でもわずかながら栽培されている。 多…

まともな鍼灸師の思考法

以前、「鍼で気胸を起こすアホがいるが、ワシは鍼で気胸を治すんじゃ!ゴッドハンドじゃ!」とか、中国語を解せぬのに「新中国の中医学に基づいた最高の鍼灸治療が受けられるのはウチだけじゃ!他はアホじゃ!」などと嘯(うそぶ)く鍼灸師がいた。 そもそも…

新聞奨学生時代の思い出(8)

貧しい苦学生に見えたのか、集金中に突然食べ物を渡されることがよくあった。 特に、古い戸建てが密集する地域では、80歳前後のおばあさんが食べ物を差し出す確率が高く、また同時に、それは賞味期限切れの食べ物である確率も高かった。 大きな一軒家に独り…

新聞奨学生時代の思い出(7)

新聞奨学生になって1年くらい経った頃、集金業務をすることになった。そうは言っても学業との兼ね合いで、100%の回収には無理があったから、月内に80%まで回収してくれればいいよ、と店長が言ってくれた。私が月内に回収できなかった分は、社員がやってく…

新聞奨学生時代の思い出(6)

私が所属していた新聞販売店には、様々な事情を抱えた人が多く集まっていた。 刑務所から出所したばかりの男、怪しいモノの運び屋をやっていた男、田舎で何かトラブルを起こして逃げてきた男、ギャンブル依存症で借金取りから逃げてきた男、多重債務から逃れ…

新聞奨学生時代の思い出(5)

新聞販売店はその名の通り、基本的には新聞販売による収入がメインとなっていたが、実際には新聞に挟む折込チラシの売り上げが、大きな収入源となっていたようだった。記憶は定かではないが、1枚あたり3円くらいだったと思う。 販売店での総配達部数は5000部…

新聞奨学生時代の思い出(4)

新聞屋にとって、1年で最も団結力が高まるのは、元旦までの1週間だった。元旦の新聞は1年の始まりということもあり、毎年、新聞社の威信をかけた豪華版となるのが通例だった。それゆえ、所長や店長からは、不吉であるから元旦だけは不着、誤配をしてくれる…

新聞奨学生時代の思い出(3)

不着、誤配をほとんどしない優秀な配達員は、しばらく経つと、どの区域にも属さない「代配者」として、配達を任されるようになる。つまり、ある区域の担当者が休んだり、欠員が出るたび、その区域の配達を代わりに請け負う、フリーランスのような配達員に昇…

新聞奨学生時代の思い出(2)

通常、朝刊の配達は深夜1時30分~朝6時まで、夕刊の配達は14~16時までだった。他には月に2回くらい、朝6~9時までの電話当番があった。 電話当番は、朝刊配達完了後から事務員が出勤してくる朝9時まで、新聞販売店内に設置された電話の前に、ボーっと座って…

新聞奨学生時代の思い出(1)

もう20年ほど前の話だ。 その頃は鍼灸学校の学費を稼ぐため、新聞奨学生をしていた。鍼灸学校は夜間部であったから、夕刊を配達したのち、休む間もなくバイクに乗り、日本一交通量が多いと言われていた某国道を、忙(せわ)しく往復する毎日だった。 当時、…

2016年、上海へ行った時の話(番外編)

2016年夏、中国へ出向している友人に招かれて、初めて上海へ行った。 tokyo-tsubame89.com ついでに、LCCに乗ってみようということで、春秋航空のチケットをゲットし、カラフルなゴミ箱が設置してある茨城空港から、片道8000円で上海へ飛ぶことにした。 上海…

門脇尚平先生と木枕

手相といえば、20代初めの頃、イロイロあって路頭に迷っていた時期に、手相の大家であられた門脇尚平先生に、下北沢のご自宅で鑑定していただいたことがあった。 先生は「手相の世界では、本は書けても実際に観れる人はほとんどいないでしょ。私は書けるし観…

エアコンを洗浄した話

やっとヒマができたので、毎年恒例のエアコン掃除をした。 最近の東京は異常なくらい蒸し暑いから、エアコンにカビが繁殖しやすい。かといって、カビを放置しておくと胞子が飛んで健康被害が出る可能性があるから、定期的に清掃しなければならない。 これま…

怪談の町の思い出

松江の北京堂を引き継いで半年ほど経った2011年3月11日、東日本大震災が発生した。しかしながら、松江市内は至って平和に感じられた。 ほぼ毎日、海潮(うしお)温泉へ行っているという東忌部(いんべ)人の患者が、「あの地震の前日だけですよ、源泉の色が…

野草生活100

松江の北京堂にいた頃、「結婚した当初は食費を減らすために、野草を摘んで食べていたんですよー」と言っていた、美人な患者がいた。 東京では奥多摩を除き、野草を食べて生活することなんてことは、不可能に近い。それゆえ、野草を食べて生活できるなんて、…

高铁と新幹線

中国では10年以上前から、地下鉄や高铁(高速鉄道)などにおいても、乗車前の手荷物X線検査と金属探知機を用いたボディチェックが実施されている。いわゆる「安检(安全検査)」である。 もちろん、中国であるから、時折係員が立寝していたり、検査が杜撰(…

2011年、夏、師匠が偵察に来た日

島根へ行ってちょうど1年が経った頃、師匠がアポなしで突然、松江の北京堂に現れたことがあった。 元々、松江の北京堂は2009年頃から、師匠の旧友であるTさんの希望により、学園通りで最も高い7階建てのビルの6階に移転していた。しかし、私が松江の北京堂を…

鍼灸の偏向報道があった

先日、日本の某テレビ番組で、鍼灸治療の特集をやっていたらしい。 日本のメディアは偏向報道が少なくないから、私は普段から極力テレビは観ないようにしている。しかし、多くの患者さんが、「観ましたか、観ましたか」と言ってくるもんだから、どんな番組な…

アメリカで鍼灸が動き出した日(H.R.6 into law!)

2018年10月24日、トランプ大統領がH.R.6という法案に署名した。 これまでアメリカでは、オピオイド薬による死亡者が年間数万人以上に上り、鎮痛薬の過剰摂取が社会問題になっていた。『Dr.HOUSE』で、Hugh Laurie扮するDr.HOUSEが、バイコディン(コデイン)…

長野へ行った話5(終)

最終日は小布施と戸隠へ行くことにした。帰りの新幹線が15時発だったから、14時くらいまでには長野駅へ戻れるよう、予定を組むことにした。 天気予報では翌日から大寒波が襲来するという話で、まだそんなに寒くはなかったが、戸隠あたりはすでに雪が積もって…