東京つばめ鍼灸院長のブログ( ´∀`)

完全無所属、無宗教、東京つばめ鍼灸院長が不定期に更新中。

線維筋痛症(FMS/筋筋膜性疼痛症候群/MPS)は適切な鍼治療で改善する

疫学:慢性の軟骨組織のびまん性疼痛を特徴とした疾患。アメリカリウマチ学会が公表している診断基準に基づき、18箇所のうち11箇所に圧痛が見られた場合、線維筋痛症と診断することになっている。20~60歳の女性に多い。リウマチ性疾患に合併することがある。維筋痛症(FM)の病因を中枢か末梢かで区分すると、現在では中枢(脳の機能異常)にあることは異論がない。実際、FM患者の抹消神経、筋、腱などには病理学的異常が認められないとされ、痛みのブレーキとなる下行性疼痛抑制系の異常であることが指摘されている。この経路には脳内モノアミンであるセロトニンノルアドレナリン双方の低下が関与している。過去に、脳に何らかの強い痛みが感じられた場合、脳がその痛みを記憶するが、その後も継続的に強い痛みを感じると、中枢感作を介して脳内で痛み刺激が累積してゆく「wind up」という状態が起こる。最終的には痛覚過敏の極限状態であるアロディニアという状態(風が吹いただけでも痛むような状態)に至る。アロディニアはFM以外にも慢性疲労症候群顎関節症、舌痛症、歯痛症、原発性月経困難症などにもみられる事がある。

原因:不明。

一般的な治療法:安心させる。鎮痛薬、抗うつ剤マイナートランキライザー漢方薬ケタミンオピオイドフェノバルビタール、交感神経遮断薬、メキシレチンなどの投与、運動療法心理療法理学療法、神経ブロック療法、星状神経節ブロック、光線療法など。非ステロイド抗炎症薬やステロイド薬は通常無効とされている。2023年現在も決定的な治療法は存在しない。

当院での治療法線維筋痛症(FMS)は現代病の最たるものですが、医学的には原因不明で、2023年現在でも有効な治療法は発見されていません。筋筋膜性疼痛症候群(MPS)の病態は、線維筋痛症に近似しています。線維筋痛症が認知されるようになったのは、2000年代に入ってからで、南山堂の医学大辞典に載るようになったのは2006年以降のようです。当時は北陸の某ペインクリニックで鎮痛薬を打つことが患者にとっての唯一の頼みの綱だったようですが、私の師匠である北京堂鍼灸代表、浅野周先生が線維筋痛症患者を受け入れ始めてから、「ペインクリニックよりも北京堂で施術を受けた方が楽になる」との評判が患者同士のウェブ上のコミュニティで話題になり、2010年頃から、北京堂へ来院する線維筋痛症患者が増えるようになりました。しかし、北京堂で施術しても完治する患者は稀で、施術後3日程度は症状が寛解するものの、数日すれば元の木阿弥、というのが多くのケースにおける実際の状況でした。北京堂では最初はマニュアル通りに刺鍼し、効果がなければ針の本数を増やしたり、より長く太い針を用いる、というのが定番の治療法でした。当院でも師匠の教え通り、数年間はそのように施術していたわけですが、一定期間施術すると、治りにくくなってくる患者が少なからず出現することがわかりました。そこで、当院では良い刺鍼法を考え出せるまで、3年ほど線維筋痛症の患者の受け入れを断っていました。しばらくの間、最新の中医の刺鍼法などを研究しつつ、様々な刺鍼法を試した結果、2021年4月頃に、従来とは全く異なる刺鍼法を考え出しました。そして、この刺鍼法が本当に効果があるのかを試すべく、他の北京堂系鍼灸院を5年ほど放浪し、10人以上の鍼灸師の施術を受けてきたという、「線維筋痛症患者四天王」と呼ばれていた最も難治な某患者の治療を開始しました。この某患者曰く、5年間ほぼ毎週治療しても全く変化が見られなかった肩や臀部、背中の痛みが当院の3回程度の施術で明らかに変化し、施術後3日経っても元の状態に戻るということはなくなり、徐々にではありますが、明らかな改善を実感していただけるようになりました。詳しい刺鍼法についてはここでは述べませんが、この刺鍼法を用いれば、これまで治せなかった患者も治せるのではないかという思いが確信になってきています(2020年時点)。また、顎関節症(食いしばりや歯ぎしり)が、かなり繊維筋痛症に影響しているのではないかと、2021年の5月頃から考えるようになりました。顎関節症の主な症状は、歯を強く食いしばることによる側頭筋の痛み、顎の痛み、開口時のクリック音、開口障害などですが、副次的な症状として手足の冷え、イライラ、不眠、自律神経失調などもよくみられます。ある病院での実験によれば、食いしばりや歯ぎしりが常態化した患者は、サーモグラフィ画像で全身の状態を観察すると、手足の体温が低下していることがよくあるそうです。これはつまり、食いしばりや歯ぎしりによって交感神経が優位になり、末梢血管が収縮したことに原因があると推察されますが、これらが常態化すれば、手足の毛細血管が減少したり、造血機能が低下したり、慢性的な血液循環不全が起こり、手足の冷えだけでなく、手足の肌荒れ、爪の異常、汗疱(異汗性湿疹、主婦湿疹)、易感染(蜂窩織炎)、そして原因不明の全身の疼痛(線維筋痛症)、交感神経異常による全身の掻痒感やしびれ、発汗異常、睡眠障害自律神経失調症などが起こりやすくなるようです。したがって、歯ぎしりや食いしばりが常態化した患者においては、以上のような症状は、薬物治療、局所的な治療、対症療法的な治療で完治することは難しく、顎の治療を最優先しない限り、進展がみられないことがよくあります。師匠とたまに会うと、いつも線維筋痛症の患者の話になるわけですが、師匠は線維筋痛症の原因は首や大腰筋にあるのではないかと考えているようです。しかし、私は古代に線維筋痛症のような病態が見られなかったことから、これは明らかに現代病であり、ワクチンや農薬、食品添加物、その他様々な薬物が強く脳内に影響し、中枢の異常を引き起こしているのではないかと考えています。特に、薬物などに含まれる水銀やアルミニウム(アジュバンド)などの重金属類や、劇薬であるホルムアルデヒド、その他の薬品やサプリメント食品添加物の原料となる石油やGMOなどを、毎日微量でも摂取し続けることによって、血液中の毒素の残留濃度が高いまま維持され、様々な炎症反応を引き起こす主因になっているのではないかと推察されます。例えば自己免疫疾患や膠原病アトピーなども線維筋痛症と同様に現代病と言えます。もちろん、ガンも医学的に言えば炎症の成れ果てですから、現代病と言えるかもしれません。近年、中国では疼痛性疾患に特化した頬鍼療法など、様々な刺鍼法が開発されており、当院でも研究を続けています。2023年12月現在では、当院の評判を聞いた線維筋痛症患者が徐々に増え、治療成績も今までにないくらい向上しており、日常的な痛みはほぼ無くなった、という患者も出てきました。線維筋痛症におけるセロトニンノルアドレナリンの低下、中枢感作を介したwind up、アロディニアなどを考慮すると、刺鍼による断続的侵害刺激が過剰であれば、脳はさらに疲弊する可能性があります。つまり、無鉄砲な刺鍼や手技は症状を悪化させる可能性があるため、刺激量を慎重にコントロールし、疼痛が認められる部位を確実に減圧してゆく必要があります。また、膠原病繊維筋痛症も癌も偏頭痛も腰痛も眼精疲労潰瘍性大腸炎も腱鞘炎も肩凝りも、様々な病態の根底に共通するのは炎症であって、患者自身も、日常的に、如何に体内で炎症を起こさせないようにするかについてもよく考慮しなければなりません。まずは炎症を起こす可能性のある物質についての正確な知識を得て、それらを極力摂取しないようにすることなどが必要です。慢性化により痛みの記憶が脳に強く残る場合は、認知行動療法などを併用する事が重要ですが、当院の鍼施術を週1-2回のペースで数か月ほど試し、ある程度動けるようになったら、10-30分程度の軽い有酸素運動や筋トレなどをリハビリ的に併用すると、元々外出できるようなレベルの病状であれば、日常的な痛みが劇的に減る可能性があります。ちなみに、英語のサイトですが、慢性疲労症候群CFS(Chronic fatigue syndrome)についての記事はこちらが参考になります。