東京つばめ鍼灸院長のブログ( ´∀`)

完全無所属、無宗教、東京つばめ鍼灸院長が不定期に更新中。

新聞奨学生時代の思い出(1)

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もう20年ほど前の話だ。

 

その頃は鍼灸学校の学費を稼ぐため、新聞奨学生をしていた。鍼灸学校は夜間部であったから、夕刊を配達したのち、休む間もなくバイクに乗り、日本一交通量が多いと言われていた某国道を、忙(せわ)しく往復する毎日だった。

 

当時、新聞業界はまだ活気があり、新聞奨学生の待遇もそれなりに良かった。新聞奨学制度は朝日、読売、毎日、日経など各社に存在したが、最も待遇が良かったのは朝日と読売だった。

 

もちろん、奨学金自体は新聞社の本社から支給されるから、奨学金自体に大差はなかったけれど、お世話になる販売店によって食事補助や住宅補助があったから、儲かっている販売店に所属すれば、経済面ではほぼ心配なく、学生生活を送ることができるようになっていた。

 

通常、新聞奨学生は、販売店2階の粗末な部屋を与えられることが多い。しかし、私がお世話になった販売店の店長は、いわゆる苦学生への支援に力を注いる熱血漢で、販売店の上では喧しくて学業に支障が出るであろうと、閑静な住宅街にある家賃75000円のマンションのワンルームを無償で提供してくれた。

 

パソコンが普及し、インターネットが隆盛を迎えるまで、新聞はテレビと同様、貴重な情報源の1つであり、2000年前後は新聞社が最も潤っていた時代だった。それゆえ、経済的に恵まれない家庭環境にあっても、新聞社にパトロンになってもらうことで、新聞奨学生は無事学校に通うことができた。

 

昨今は偏向報道やらオシガミ問題やらで新聞屋は叩かれているけれど、貧しい若者にとって新聞奨学制度は、地獄から這い上がるための、いわば1本の蜘蛛の糸のような存在であった。

  

新聞奨学制度には2種類のコースがあった。1つは朝夕刊の配達+月末の集金業務が必須のAコース、もう1つは朝夕刊の配達のみでOKBコースだった。

 

Aコースは主に4年制の私立大学への入学を希望する学生向けで、約380万円の奨学金と住居補助、毎月約10万円の生活費に数万円程度の集金手当が上乗せされて、支給された。

 

一方、Bコースは主に短期大学や専門学校への入学を希望する学生向けで、約315万円の奨学金と住居補助、毎月約10万円の生活費が支給された。

 

当然ながら、どちらのコースも、学校を中途で留年または退学した場合は、奨学金をすべて返還しなければならない契約だった。それゆえ、無事に卒業するまでは、奨学金はあくまで貸与であったから、卒業までの生活は経済面では安心感があったけれど、精神面・肉体面においては決して楽とは言えなかった。 

 

2016年、上海へ行った時の話(番外編)

2016年夏、中国へ出向している友人に招かれて、初めて上海へ行った。

 

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ついでに、LCCに乗ってみようということで、春秋航空のチケットをゲットし、カラフルなゴミ箱が設置してある茨城空港から、片道8000円で上海へ飛ぶことにした。

 

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上海で最も楽しみにしていたのはマグレブ(磁浮)に乗ることだった。マグレブは2006年に開業したものの、用地買収がままならず、運行距離はたったの30kmだった。

 

マグレブはドイツで開発されたTR08がベースになっており、車体は磁力で浮上、無摩擦、無接触だから、既存の高速列車に比べて、耐久年数は長いと聞いていた。

 

しかし、実際に乗車してみると、10年以上経過した車体は明らかにガタがきているように感じられた。動力は未だ衰えが見えぬようで、発射後わずか数分で最高時速430kmに達したものの、内心では大丈夫かいなと不安になった。

 

通常の列車の線路の耐久年数は60年程度だが、マグレブの場合は80年程度だそうだ。何より、騒音が少なく、排気ガスも出ないのが一番のメリットであるが、消費電力や電磁波の問題が密かに取り沙汰されていたのは、日本のリニアモーターカーと同じだった。

 

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中国ではマグレブの欠点として、停電時の減速性能の低さが指摘されている。

 

車輪のある乗り物は、タイヤのグリップ力や車輪、ブレーキパッドなどの摩擦抵抗で急減速することが可能になるわけだが、マグレブには車輪自体がないため、急制動しようにも、高速度運行による慣性の法則が強く影響して、止まるという点に関しては劣る。

 

そうは言っても、ドイツでは1980年代に、時速400kmを超える磁気浮上型の列車を開発しているのだからすごい。まだVWゴルフⅡが発売されて間もない頃の話だ。

 

TR08は設計上、時速500kmで走行可能らしいが、中国ではTR08の独自改良版で、時速600km超を目指しているそうだ。

 

ちなみに中国では現在、アメリカ人が考え出したハイパーループをパクったような「高速飞行列车」と呼ばれる次世代高速鉄道の研究を開始しており、最高時速1000kmから段階的に速度を上げ、最終的には時速4000kmでの運行を目指しているらしい。北京から武漢まではおおよそ1200km(青森市から岡山市くらい)だから、時速4000kmで走り続けることができたら、計算上は18分で北京から武漢に到着する。

 

半世紀前までは、中国国民の主な移動手段と言えば徒歩か自転車のみであったが、たった数十年でここまで発展したのは俄(にわ)かには信じがたい。鶴の一声で物事が進みやすくなるのは、独裁政権のメリットの1つだろう。飞铁と呼ばれる超级高铁が、実際にスーパーシティ同士をつなぎ合わせるのも、もはや時間の問題かもしれない。

  

中国で最も発展している都市と言えば、出稼ぎ労働者があふれていた深圳だけれども、現在の深圳は東京人がカッペに思えるくらい、激しく発展しているそうだ。まぁ、5Gによる超監視社会は恐ろしいけれど、どんな感じなのか実際に見てみたい。

 

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中国は急速な発展を遂げる一方で、街中に未だ怪しい面影を残している。例えば、上海人民公園の地下にある某ショッピングモールには、新宿国際造型という怪しげな屋号の美容院があった。

 

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最近はこのような美容院以外にも、日式(日本風のサービス)を提供するという触れ込みの店が数多存在するから、何だかんだで反日報道はあっても、日本好きな中国人は少なくないのだろうと思う。

 

ちなみに、この新宿国際造型では、日本式カラー(日式染发)は399元(約6,800円)、日本式パーマ(日式烫发)399元は(約6,800円)、シャンプーブロー(洗吹)は39元(約670円)と、中国の物価を鑑みれば相当に高額であった。実際、本当に日本式なのかどうかはわからない。

 

しかし、何故にこの美容院は、新宿という屋号を選んだのだろう。

 

そういえば、ある中国人が東京に住み始めて間もない頃、「新宿駅があるなら古宿駅もあるのか?」と言っていたが、やはり「新天地」と呼ばれるデパートに馴染みのある中国人にとって、「新」が付く地名はおニューな感じというか、イカす感じがするのかもしれない。

 

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そんなことやあんなことを考えつつ、店頭右側の看板を見やると、明治人のようでよく見るとそうでもないような、職業不詳の日本人らしき中年カップルが描かれていることに気が付いた。髭男は左手に何か持っていたが、それが手裏剣なのか、藁人形なのか、ハサミなのか、私のIQでは判別がつかなかった。この絵のどのあたりが「しんじゅく」なのかは、全くもって理解不能であった。

 

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そういえば、某駅の近くには、機関車トーマスをパクったような乗り物があったので、記念に写真を撮っておいた。

門脇尚平先生と木枕

手相といえば、20代初めの頃、イロイロあって路頭に迷っていた時期に、手相の大家であられた門脇尚平先生に、下北沢のご自宅で鑑定していただいたことがあった。

 

先生は「手相の世界では、本は書けても実際に観れる人はほとんどいないでしょ。私は書けるし観るのも巧い」と言った。確かに中医の世界でも似たような状況みたいだが、日本では書けぬし治せぬ鍼灸師が多すぎるように思えてならぬ。 
 
門脇先生に手相を観てもらった時、私は確か20歳くらいで、生産性も将来性も微塵もないようなクズみたいな人間だった。

 

ご自宅は下北沢駅から5分くらい歩いた住宅街にあって、インターホンを押すと気さくな感じで門脇先生がお出迎えになり、玄関左脇の居間に通された。10畳くらいの部屋に小さなちゃぶ台と座布団が2枚敷いてあって、部屋の奥には西式健康法の平牀(へいしょう、≒木板)と硬枕(木枕)を置いたスペースがあった。

 

先生に促されて座布団に座ると、すぐに代金を請求された。3万円だった。先生は現ナマを手にするまで、会話をしない様子だった。随分高いと思ったが、門脇先生にお会い出来て感動していたし、鑑定内容に期待していたので、すぐに諭吉を3枚取り出した。ためらいながらも3万円を差し出すなんて、あの頃の私は今よりは遥かに純朴であったと思う。

 

鑑定時間は約30分で、奥様が出してくださった柿の葉茶を飲みながら、部屋の片隅に置かれた西式健康法の器具について話したりしたが、20分くらいは先生の自慢話を聞かされたように思う。先生は手相の鑑定にも関わらず、何故か手相についてはあまり詳しく語らなかった。

 

門脇先生の手は随分と手荒れが酷く、表皮が剥けてカサカサになっていたので、つい「どうしたんですか」と言ってしまったが、先生は「ちょっとね」と言って話をはぐらかした。先生は西式健康法で完全なる健康体になっていると思い込んでいたが、西式に問題があるのか、先生に問題があるのか、当時の私にはわからなかった。

 

先生はしばらく私の手相をジッとみていたが、「あなたはちょっと変わった人と結婚するね」とか「吉相、吉相」と大きな声で言うだけで、私が聞きたかった内容はあまり判然としなかった。しかし、「君は将来、多くの人の面倒をみることになるよ」と断言したことは、どうやら当たっていたらしい。

 

結局、先生が話した内容の大半は下ネタ的な自慢話ばかりで幻滅した。まぁ大体、巷の占い師の多くは、客が望んでいる答えを推量してうまいこと言うだけの、鏡台みたいなモノなのかもしれない。

 

とりあえず、鑑定の時間が終わる前に、一つだけ聞いておきたいことがあった。門脇先生は多くの著書を残されていたが、“手相はアリストテレスに始まって門脇尚平に終わる”、と自著で毎度のようにおっしゃっていた先生にとって、どの本が一番お勧めなのかということが知っておきたかった。

 

先生は座りながら電話の受話器を取ると、おもむろに内線ボタンを押して、2階にいる娘さんだかに「『手相への招待』まだあったっけ?」と聞いた。私はどの著書がお勧めなのかを知りたかっただけで、本を買って行くつもりはなかったが、先生は本を売りつける気満々のようであった。とりあえず、先生が勧める本が『手相への招待』であることがわかったのは収穫であった。

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鑑定の時間が終わると、先生は「手相の改善と健康のために、西式健康法をやりなさい。明日から朝食を廃止しなさい」と言いながら、私に帰宅を促した。私は透かさず、持参した先生の某著書を取り出し、サインをお願いし、先生のご自宅をあとにした。

 

こうして私が15年前に木枕の存在を知り、今、多くの患者に感謝されるような木枕の使用法を考え出すことが出来たのも、そもそもは門脇先生のおかげである。手相に関しての恩恵は少なかったけれども、西式の存在を教えて下さったことに関しては、門脇先生には大いに感謝している。

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そんなこんなで、京都から東京へ向かう新幹線の中で、デイパックの中に忍ばせていた携帯用の木枕を首にあてがいながら、若かりし頃の懐かしい日々を昨日のことのように思い出していた。

 

そういえば、最近、何人かの患者さんから携帯用の木枕を売ってくれと言われたのでメーカーに問い合わせてみたのだが、残念ながら携帯用は既に販売中止になっていた。以前はメーカーもバンバン作っていたらしいが、最近は需要がないのと職人が引退したとのことで、生産を中止せざるを得なくなったらしい。

 

木枕はしばらく使っていると旅行や出張にも携帯したいと思うようになるわけだが、うちの患者さんにもそんな感じの人がチラホラ現れてきたようだ。携帯用は折りたたむと通常の木枕の1/3くらいの大きさになるので、バッグに入れても邪魔にならず便利である。

エアコンを洗浄した話

やっとヒマができたので、毎年恒例のエアコン掃除をした。

 

最近の東京は異常なくらい蒸し暑いから、エアコンにカビが繁殖しやすい。かといって、カビを放置しておくと胞子が飛んで健康被害が出る可能性があるから、定期的に清掃しなければならない。

 

これまでは、ヒマがなくて、業者にエアコン掃除を頼んでいたことも多かった。しかし、どこも洗浄方法は似たり寄ったりで、熱交換器のみの洗浄で誤魔化すケースが多々あり、結局、最も気になるカビの臭いが取れず、自分で掃除することにした。

 

YouTubeなどでは様々なエアコン掃除法がアップされているが、基本的にエアコン掃除では、カビキラーは使わない方がよろしい。カビキラーは風呂掃除に使うモノであって、エアコン掃除には適していない。

 

現状では、以下の道具で掃除するのが最も安全かつ効果的で、安価で楽な方法であると思われる。

 

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必要なもの

・3段程度の脚立

・養生マット

ケルヒャー製モバイルマルチクリーナーOC3

リョービ(RYOBI)製ブロワーBL-3500

・エアコン洗浄カバーKB-8016

寺岡製作所製養生テープ

・アースエアコン洗浄スプレー無香性

・バケツ大(排水回収用)

・バケツ小(洗浄スポンジ用)

・タオル

・スポンジ(普通の食器洗い用スポンジとメラミンスポンジ)

・柄付きブラシ

・洗剤(食器用洗剤など)

・掃除機

・養生用ビニール(ゴミ袋など)

・ゴム手袋など

 

脚立や養生マットは、郊外の大きなホームセンターなら、大抵在庫がある。ケルヒャーの高圧洗浄機は様々な種類があるけれど、エアコン洗浄に限ってはモバイルマルチクリーナーOC3程度の水圧が無難だ。これ以上水圧が強くても弱くてもよろしくない。

 

エアコン洗浄カバーはケチって粗大ごみなどで代用しない方がよい。ゴミ袋を加工すると、作業中に水が漏れる可能性があるし、何より設置と撤去に時間がかかる上に作業効率が悪くなる。専用のエアコン洗浄カバーを使うのが賢明だ。

 

養生テープはエアコン洗浄カバーを取り付けた後、特にエアコン下部の隙間を埋めるために使う。また、周囲の家具などをビニールなどで覆う時などにも重宝する。100均の養生テープだと粘着力が弱く、水圧で容易にはがれる可能性があるから、これもケチらずちゃんとしたメーカー品を用意しておいた方がよろしい。

 

アースエアコン洗浄スプレーは無香性がよろしい。この洗浄スプレーは熱交換器部分にしか使えないから、ファン部分に使ってはいけない。エアコンがかなり汚れている場合は、1台につき2本は必要だ。非常に使いやすい商品である。最近は薬局でも手に入るようになった。

 

洗浄時の排水を回収するバケツはなるべく大きくて、赤ちゃんの風呂に使えるくらいの、安定したものがよろしい。小さいバケツは洗浄スポンジ用に少し水をためておいて使う。

 

スポンジはファンと通風路を大まかに掃除するために使うが、頑固な汚れは激落ちくんなどメラミンスポンジを使う。ファンの隙間を掃除するブラシは柄が付いたものが使いやすい。

 

カビ汚れは食器用洗剤で十分に落ちるが、落ちない場合は他の洗剤が必要かもしれない。

 

掃除機はフィルター部分のホコリをとるために使うが、水洗い可能なフィルターは、出来れば水洗いした方が良い。エアコンの種類によっては紙製の小さなフィルターが付いている場合もあるから、この場合は型番を調べて定期的に新品交換する。

 

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作業前にコンセントは必ず抜いて、本体カバーを外したあと、電装部をビニールと養生テープで水がかからないように養生しておく。今回はファンの清掃がメインなので本体カバーは外さなかった。カバーを外さない場合は、カバーの継ぎ目も養生テープで水が浸入しないように保護しておいたほうがよい。

 

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メーカーによっては部品の面取りがしっかりとなされておらず、洗浄時に手を切る可能性があるから、何らかの手袋で手を保護していおいた方が無難だ。D社の某エアコンは3年前に15万円ほどで購入した比較的高級品の部類だが、フラップ台座部の中央部が面取りされておらず、手を切ってしまった。この部分は、C社やP社の最安エアコンでさえしっかりと面取りされているのに、これはひどい。もうD社のエアコンを買うことはないだろう。工業製品は分解すると、メーカーの真の設計レベルが伺い知れる。

 

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熱交換器の洗浄は簡単だ。フィルターを外して洗浄し、乾かしたあと、熱交換器部分に洗浄スプレーを吹き付ければ良い。注意点としては本体カバーを外して清掃する場合、右側の電装部周囲に洗浄液を吹きかけないことと、熱交換器のフィンに触れないようにすることだ。フィンは薄いアルミ製だから、ちょっと触っただけで容易に曲がってしまう。

 

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ファンの洗浄はケルヒャー製モバイルマルチクリーナーOC3があれば、非常に楽だ。ファンに水を吹きかけるだけで、カビが次々と滴り落ちてくる。1台のエアコンを掃除するのに、タンクに2~3回給水しなければならぬのがちょっと面倒だけれど、手動ポンプ式のモノより遥かに水圧が高いから、とにかく掃除が楽になった。悪い点は、タンクが本体から外れやすいところくらいだ。タンクのハンドルと本体のハンドルをしっかりとロックさせる仕様か、タンク自体を本体側とロックさせる仕様にしてくれたら、文句はない。

 

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最初にある程度水洗いしたあと、洗剤を付けたスポンジとブラシで丁寧に洗い、再び水で流せば良い。

 

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大きなスポンジで大まかに洗ったあと、柄付きブラシでファンの隙間などを丁寧に洗うとよい。

 

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そして、乾いたタオルで大まかに水を拭きとったあと、ブロワーで水を吹き飛ばせばよろしい。水が少しでも残っているとカビが再発しやすくなるから、ブロワーをで水を飛ばしたあと、しばらく放置して乾かしておくとよい。ちなみに、このブロアーは風圧が強烈だから、ファンから少し離して短時間の使用にしないと、ファンが高回転で回り過ぎて危ない。

 

また、動作音も強烈だから、近所迷惑になる可能性もあるのが難点だが、洗い終わったフラップの細かい水も飛ばせて、基本的には便利な道具である。フラップの水を飛ばす時も、近づけ過ぎると風圧でフラップが破壊される可能性があるから、心配な場合はサンワサプライ製などのエアダスターを使った方がよろしい。

 

ビフォア(洗浄前)

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アフター(洗浄後)

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ちなみに、D社では、エアコン本体を外して工場に持ち帰り、分解して洗浄、組立、再取り付けする、という1台につき4~5万程度のエアコン洗浄コースがあるが、一度取り付けたエアコンを毎年外して分解するリスクを考えると、個人的にはこんな感じで洗浄した方がメリットが多いように思える。本体カバーを外してちゃんと洗浄すれば、カビの臭いはほぼ完全に無くなるはずだ。

 

しかしながら、素人は時に思わぬ危険を冒すことがあるから、知識と自信がない人は、プロに頼んだ方がよろしかろうと思う。

 

怪談の町の思い出

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松江の北京堂を引き継いで半年ほど経った2011年3月11日、東日本大震災が発生した。しかしながら、松江市内は至って平和に感じられた。

 

ほぼ毎日、海潮(うしお)温泉へ行っているという東忌部(いんべ)人の患者が、「あの地震の前日だけですよ、源泉の色があんな茶色く濁ったのは」と言っていたくらいで、テレビからけたたましく流れ出る大地震関連のニュースは、まるで他人事のようで、多くの患者は平時と変わらぬ様子で過ごしていた。

 

そんな中、東京人にとっては甘すぎる鯵(あじ)の南蛮漬けを定期的にもってきてくれる患者のKさんが、「つい先日、松江歴史館が完成したのよ。早速行って来たけど大した事なかったわ。まぁ、先生も行ってみたら」と言った。

 

Kさんは元々、十数年も前から、線維筋痛症の如き謎の全身痛を患っており、北京堂に出逢うまでは歩くことさえできなかったそうだ。しかし、師匠の施術で歩けるようになり、私の施術で小走りできるようになったものの、完治には至らず、定期的に通院していた。

 

ある時、Kさんが「先生、お土産です」と言って、カンボジアで買ってきたという小さな荒彫りの仏像を差し出した。村八分の存在を信じていた純朴な東京人は断ることもできず、お礼を言って受け取ったわけだが、本来信仰するものがない人間にとって、出所の知れぬ仏像のお土産は、あまり気分が良いモノではなかった。

 

そういえば、師匠と三鷹市の僻地で北京堂を開業して間もない頃、予約がほとんど入らない日々に業を煮やした師匠が、「これはきっと妹が中国から買ってきた仏壇の扉を開けているせいだ!不吉だから仏壇の扉を閉めましょう!」と叫んだことがあった。

 

師匠は本来、出雲教に熱心だったお母さんが買ってきた、毎年買い替えるべきお札(ふだ)を何年も無造作に壁に掲げておくほど、宗教には無関心であった。しかし、妹さんからお土産でもらったという、手の平サイズの怪しい仏壇を処分することができず、何故か本棚に飾ったままにしてあった。

 

「黄泉平坂(よもつひらさか)にある、黄泉への入り口を塞いでいるという大きな岩は、実は私たちが若い頃に運ばされたものです」と、出雲訛りの標準語で暴露したお父さんと同様、師匠も典型的な唯物論者であるはずだったが、鍼灸院営業不振の原因は、ミニ仏壇の扉が開いていることにあると思い込んでいるらしかった。

 

私は「今は開業して間もないし、ここは僻地だから、最初は患者が来なくて当然だ」と思っていたから、仏壇の扉を閉めても何も変わりゃあしないだろう、と高を括(くく)っていた。

 

しかし、師匠が仏壇の扉を閉じるや否や、院内の電話の着信音が鳴り響いて新規の予約が入ったもんだから、師匠は仏壇が良からぬオーラの泉となっていることを確信した様子であった。

 

当時、松江市では、2007年から「松江開府400年祭」が始まっており、2011年はこの祭の集大成として、「松江開府400年記念博覧会」が開催されることになっていた。松江歴史館はこのタイミングに合わせて開館したようだった。

 

ちょうど同時期、隣の出雲市では、独身女子が出雲大社で願掛け参りするというブームに火がつき始めていて、松江市もそれに肖(あやか)って、何とかして観光客を増やしちゃろう、という気運が高まっていた。

 

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しかし、観光という点においては、松江市には出雲大社ほど強烈なスポットが存在せず、松江城は未だ国宝に認定されていなかったし、独身女子を魅了するようなモノも皆無に等しかったせいか、境港市の妖怪ロード成功に便乗して、松江市を怪談の町として売り出してはどうか、と言う話があった。

 

例えば、松江市にゆかりのある小泉八雲ラフカディオ・ハーン)の怪談話に関係のあるエリアを巡る、松江市独自の怪談ツアーなどを定期的に開催する、という話だ。

 

そんな中、完成して間もない松江歴史館で、私の好きなフロッグマントークショーをすると言う話を、2ちゃんねるのスレッドで時折見られる「あげ」は出雲弁である、と信じていた、毎年「すてきな奥さん」のリッラクマ付録を楽しみにしていた某患者から聞いた。

 

その患者曰く、今をときめくフロッグマンと、「怪談」の代名詞のような存在である小泉八雲の子孫とをコラボさせ、松江を盛り上げていこうという作戦なのではないか、という話だった。

 

結局、件(くだん)のトークショーを見るため、仕事を早めに切り上げて松江歴史館に行ってみたものの、今となっては、最前列に陣取っていたフロッグマンの熱心なファンらしき人々が、頻繁に頷(うなず)く映像しか脳裏に浮かばず、彼らがどんな内容を話したかは、もうスッカリ忘れてしまった。

 

フロッグマンは確かに才能のある人だと思う。彼の代表作は「鷹の爪」だけれど、最もセンスを感じるのは「京浜家族」である。

 

「鷹の爪」は、随所に島根を皮肉るセリフが散りばめられている、奇抜かつ斬新なフラッシュアニメの走りであったが、老年人口の占める割合が多い島根県においては、フラッシュアニメ自体を知らぬ人が多かったから、話題に上ること自体が少なかった。

 

それでも、「鷹の爪」ブームを見越してか、旧日本銀行松江支店跡地のカラコロ工房内に唯一、フロッグマングッズを扱う店があった。

野草生活100

 

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松江の北京堂にいた頃、「結婚した当初は食費を減らすために、野草を摘んで食べていたんですよー」と言っていた、美人な患者がいた。

 

東京では奥多摩を除き、野草を食べて生活することなんてことは、不可能に近い。それゆえ、野草を食べて生活できるなんて、松江は何と素晴らしい土地なのであろうか、と感動した。

 

松江へ向かう数週間前、東出雲人である師匠に、松江が如何なる場所なのかを問うたことがあった。すると師匠は、「冬は犬しか歩いていないから」と答えた。

 

純朴なシティボーイはこれを聞き、松江はもはや鳥取砂丘もろとも、人が住めぬほど荒廃したデスバレーの如き様相を呈しているのかと想像していたわけだが、実際には、松江は野菜生活100ならぬ野草生活100が可能な、豊かな土地であることがわかった。

 

そういえば、師匠が東出雲で北京堂を開いていた頃、自宅の植木鉢で大麻を栽培していた松江人が、お縄を頂戴したのちギックリ腰になり、手錠をかけられたまま、警官に連れてこられ、治療してやった、という話を聞いたことがある。

 

確かに、私が松江にいた頃、ある患者が「〇〇山には大麻が自生している」と証言していたから、自宅で大麻を栽培することも可能らしかった。とにかく、松江の自然は豊かであった。

 

うちの近所で採れそうな野草と言えば、タンポポくらいだ。しかし、他人が所有する空き地であるから、許可なく摘み取った場合、お縄を頂戴する可能性がある。

 

私が子供の頃、多摩川の土手で、無許可にむしり取ったつくしんぼを煮付けて食べてるのが好きだ、というお婆さんが近所にいた。しかし今となっては、野草を食べる人はほとんど見かけなくなった。まぁ、草団子を作るために、ヨモギをむしっているような人は、東京にもまだいるかもしれない。

 

ちなみに中国では、タンポポ(蒲公英)は、ベーシックな中药(生薬)の1つとして知られている。

 

昔、中国のある漁村で、村人たちがある魚を食べて、中毒になったことがあったそうだ。中毒になった者は次々と死んでいったが、何故か、タンポポを食べた者だけは生き残った。

 

その後の研究で、タンポポの成分には主に解熱や解毒(清热解毒)、消炎殺菌(消炎杀菌)、抗腫瘍(抗肿瘤)などの効果があることがわかり、鼻炎や乳腺炎、化膿性炎症、潰瘍、皮膚疾患、悪性腫瘍、虫や蛇に咬まれた傷などにも用いられるようになった。

 

また、古代中国で「薬王」と呼ばれた孙思邈は『千金要方』の中で、こんな話を書いている。

 

「ある日、私は手の甲をぶつけて切り傷を負った。傷は日に日に腫れ上がり、途方にくれていた。すると、どこからともなく老人が現れ、『あだん!あんた何しとる?タンポポすり潰して、その傷に塗ってごしなはい』と言った。老人に言われたとおり、新鮮なタンポポをすり潰して傷に塗ると、すぐに腫れが引き、傷が治った」

 

中国では、一般的に鲜药(生の薬草)は、内服よりも外用に用いる方が効果が高いと言われている。それゆえ、鲜药はその効能から、神話に出てくる仙药と同等だとか、灵丹妙药だ、などと言われ、今も好んで、わざわざ鲜药を処方する中医もいる。

 

そもそも古代中国では、現在のような乾燥させた薬草は一般的ではなく、中医は生の薬草を用いることが多かった。いわゆる郎中(村の中医)が患者を診る場合、四診によって患者の処方を考えたのち、患者を治療所で待たせたまま、郎中自身が裏山へ行って適当な薬草を採取し、生のまま調合して、外用または内服にて患者に用いる、というのが普通だったらしい。

 

当時は人口も少なく、村のコミュニティ自体も小さかったから、郎中が診る患者も自ずと少なく、新鮮な薬草を用いることが可能だったのだろう。

 

しかし、人口が増えてコミュニティが拡大してくると、患者が訪れるたびに入山して薬草を採る、という過程が困難になってきたため、次第に干药(乾燥させた薬草)を用いるようになったようだ。

 

高铁と新幹線

 

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中国では10年以上前から、地下鉄や高铁(高速鉄道)などにおいても、乗車前の手荷物X線検査と金属探知機を用いたボディチェックが実施されている。いわゆる「安检(安全検査)」である。

 

もちろん、中国であるから、時折係員が立寝していたり、検査が杜撰(ずさん)だったりすることもあるが、安全検査が無いに等しい日本に比べると、大きな事件は未然に防がれているように思える。ちなみに、中国の地下鉄は、ほとんどの駅にホームドアが設置されているから、人身事故で電車が止まったり、遅延することは滅多にない。

 

しかし、最近の高铁では、他人の席に勝手に居座る「霸座」や、乗客が頭上に置いた荷物を狙う置引きが目立っている。「霸座」というのは「霸占别人座位」の略語だ。

 

日本の新幹線でもたまに、空いている指定席に勝手に座る乗客がいるけれど、座るべき乗客が来れば、通常は自主的に移動する。「霸座」の場合は、警察が来ても断固として席を譲らないもんだから、結果的にお縄を頂戴して2週間ほど拘留されたり、铁路黑名单(ブラックリスト)に登録されて、6か月間乗車券を買えなくなったりする。

 

高铁における置き引きは、乗客が寝たのを見計らって、頭上の棚に置いたバッグから現金を抜き取る手口だ。特に他の乗客から目につきにくい、車両最後部の席が狙われやすい。こういった犯罪は、犯罪者に寛容な日本においては、今後十分に起こり得るから、平和ボケした日本人は特に注意した方が宜しいと思われる。

 

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以前、杭州東駅から上海行きの高铁に乗った時、私が座るべき指定席に、農民らしきジジイが偉そうに座っていたことがあった(画像右列、後ろから3つ目の席に座っているジジイ)。私が「ここは俺の席だ」と強く言ったらスンナリ移動したけれど、頼んでもいないのに温められた席に、ジジイの温もりを感じながら、2時間近く座り続けるのは非常に不愉快だった。

 

でもまぁ、安全検査をしているせいか、高铁内で包丁を振り回したり、放火したりする輩は滅多にいないし、もしそういう輩が現れたとしても、中国人乗客が一丸(いちがん)となって袋叩きにする可能性が高いから、内気で控えめな日本人が多い新幹線よりも、キレたら危ない中国人が多い高铁の方が、何となく安心感はある。

 

そもそもは、安全検査を蔑(ないがし)ろにして、乗客の命よりも己の利潤を優先する鉄道会社の列車に乗らなければ良いだけの話なのだが、都会で生活していると、中々そういうわけにもいかない。そうであるならば、できる限りの対策を自分なりに考え、いざと言う時は自己防衛するしかない。

 

「日本の駅は中国に比べて狭いから、安全検査場を作るスペースがない」とか、「新幹線の運行ダイヤはタイトだから、安全検査なんてしていたら経済的損失が大きい」とか、「日本じゃ安全検査なんて現実的ではない」などと、一生懸命に騒いでいる人がいる。

 

しかし、安全検査に必要なスペースなんて、たかが知れている。新幹線のダイヤが過密すぎるならば、安全検査を優先して、運行本数を減らせば良いだけの話だ。新幹線と同等の移動手段には飛行機もあるわけで、新幹線であぶれた乗客は飛行機に乗れば宜しい。

 

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2016年上海にある龙阳路駅磁浮(マグレブ)乗り場改札の様子

上の画像は、上海磁浮(SMT、マグレブ)乗り場の安全検査場の様子だ。安全検査に要するスペースなんて、実際にはこんなもんだ。検査時間は、1人あたり10秒もかからないだろうと思う。

 

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ちなみに、磁浮というのは、Transrapidと呼ばれるドイツで開発された磁気浮上型列車のことで、SMT(Shanghai Maglev Train)は、1999年に開発されたTR08型がベースになっている。SMTの最高時速は431kmに達する。2016年に上海へ行った時、乗ってみた感じでは、カタパルトから押し出されたようなGと、経年劣化的なガタガタ感がスリリングだった。

 

とにかく、来年には東京オリンピックがあり、テロが懸念されているし、新幹線の改札だけでも、優先的に安全検査場を設置するべきだろうと思う。設置にあたり、予算やスペースの問題がネックになるならば、まずはハンディタイプの金属探知機を使えば良い。金属探知機による簡易検査であれば、1人あたりの検査は数秒で済むだろうし、改札の手前にスペースを確保すれば、新たに設備を新設せずとも可能なはずだ。

 

それだけでも、少なくとも刃物や銃器類による事件を、大幅に減らすことが可能になるだろう。どうのこうのと理由をつけて、何もしないよりは遥かにマシだ。最新のX線装置だってコンパクトだから、休憩所や売店を設置するスペースがあるならば、まずはそれらを撤去してでも、安全検査用の器具を最優先にして設置すりゃあ良い。

 

そういえば、天津駅の高铁の改札は、何故か金属探知機のゲートが2重になっていて、警察犬もいた。警官はライフルを持っていたし、犯罪者を近寄らせないような雰囲気が強かった。

 

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2018年時点で、日本の新幹線の路線総距離約2,800キロに対し、中国高速鉄道の路線総距離は29,000キロ超で、すでに日本の10倍以上長い。さらに、2018年までの総旅客数はのべ90億人超、1日あたりの運行本数は3970本超で、日本の新幹線の1日あたりの運行本数約370本に比べ、すでに10倍以上になっている。

 

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2011年、浙江省で発生した高速鉄道(动车)の衝突事故以来、営業速度350kmの列車は300kmに、250kmの列車は200kmに速度制限がかけれらていたが、高速鉄道の安全性が確認されたとのことで、2017年、复兴号(復興号)と名付けられた新型の高铁がデビューし、高速鉄道の営業速度は時速350kmに戻された。

 

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現在、北京ー上海間(約1318km)を走る复兴号の運行平均速度は、時速280kmだそうだ。中国は2020年までに、高速鉄道路線総距離を30,000キロ、2045年には45,000キロまで延長し、复兴号は900編成まで増やす計画らしい。

 

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2016年、上海虹桥駅の高速鉄道待合室の様子

 ちなみに中国では、大都市の各主要駅にある高速鉄道のホーム数は、1駅あたり30以上はザラで、常時30本以上の高速鉄道が乗り入れ可能となっている。それゆえベンチが設置された待合所は空港なみに広大で、むしろ金のかかるファストフード店はガラ空き、東京駅のように新幹線に乗車するまでの間、休憩する場所がなくて困る、ということは一切ない。