東京つばめ鍼灸院長のブログ( ´∀`)

完全無所属、無宗教、東京つばめ鍼灸院長が不定期に更新中。

健康のための5つの習慣(東京つばめ鍼灸WPブログから転載)

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健康のための5つの習慣

健康にとって最も重要なのは、粗食小食を常とし食を慎むことと、心を安らかにし自律神経を安定させること、有酸素運動を積極的に行い、ある程度の筋肉量とその柔軟性を保つこと、睡眠時間帯を一定させ、6~7時間は眠ることです。これが可能となれば、自ずと心身の状態は良く保たれ、病気になりにくい身体になります。心身に不調が出た場合、鍼灸治療で筋肉をゆるめ、心身の安定を図ることも有効ですが、「病は日常から作り出される」と考えれば、日常生活を見直すことが最も重要です。   病気や体の不快症状は、体が何らかのバランスを失ったことによる警告のようなものですから、それを機会に日常生活を出来る限り改善することが必要になります。当院では鍼灸治療と日常生活の改善を同時進行させることで、より早期の健康回復を実現したい、と考えています。以下の項目を参考に実行していただき、皆さまがより健やかな人生を過ごされんことを、切に願っております。 

笑うこと

人は心から笑う時、自然と腹式呼吸になります。子供のように屈託なく笑えると、とても爽快な気分になります。社会人は毎日多くのストレスに囲まれ、腹の底から笑うことを忘れてしまいがちです。笑いという腹式呼吸を意識的に行えば、自ずと腹圧が高まり、内臓や全身の血流が改善され、代謝効率が良くなります。また、顔の筋肉は笑うことで大いに刺激されますから、後には表情が豊かになり、結果として運も向上するやもしれません。笑うことを忘れてしまった大人は無表情が常となり、顔の血流が悪化することになるので、顔面マヒになる確率も高まります。とにもかくにも、笑いは副交感神経を優位にし、代謝を促進し、脳内ホルモンの状態を正常にし、免疫機能を向上させるため、病気になりにくい状態を可能にします。日常的に笑う機会が無い人は、落語やお笑いDVDなどを利用して、意識的に笑う時間をつくりましょう。 

 

運動と睡眠

「適度な運動を」と医者から言われても、仕事が忙しければ運動する気力もわきませんし、時間も余裕も作れません。確かに休日などに時間を設けて運動出来ればベストですが、そのような余裕が無い場合は、仕事中や仕事の合間に時間を作るしかありません(細かい事を言えば、仕事中のように極度の緊張下で筋肉を使うのと、リラックスした状態で筋肉を使うのとでは、大きな違いがあります。当然ながらリラックスした状態で運動した方が健康には良いです。ですから、理想は嫌な事を忘れて、好きなように、楽しんで運動をする事です。ゆえに、仕事を心から楽しめたり、仕事が良い運動であると思えれば、働く事が良い運動となり、自ずと健康は維持されます。)。例えば立ち仕事ならば、太ももの筋肉を意識的に使うような運動をしてみましょう。太もも(大腿四頭筋)は体で最も大きい筋肉であり、他の筋肉をチョコチョコ動かすよりは、太もも(=下半身)の筋肉を使う方が代謝の面でも血液循環の面でも、最も効率的かつ効果的です。また重力で下半身に鬱滞しがちな静脈血は太ももの筋肉を使うことで還流が促進されますので、ウォーキングや水泳、スクワットなどは、全身の血流改善に大いに役立ちます。特に毛細血管の増加を促進させ、血流の維持に役立つ有酸素運動、特にウォーキングなどは遅筋(赤身)の割合を増やしますから、全身の症状改善、基礎体温の上昇、冷えの改善などに貢献します。ついでに、下半身がむくみやすかったり、静脈瘤が出来やすい人は、定期的に逆立ち(=ヨガでいえば「シルシアーサナ」など)や足を上げる体操も行いましょう。

 

 

運動や体操が面倒な人は、オムロン製やルルド製のクッションマッサージ機で臀部や脚の裏を刺激したり、山善製のローラーマッサージャーなどで足裏を刺激するのも良いです。本来は、睡眠については積極的に対策するまでもありません。なぜなら運動(=活動)は睡眠と表裏の関係にあるものであり、生物は適度に「動く」と、適度に「休む」ようにDNAにプログラムされているからです。したがって、自然に適った生き方をしている人には不眠症など存在するはずもなく、毎日自然な眠りが訪れるものです。つまり、良い睡眠とは、日中の過ごし方如何によるものとも言えます。ちなみに80年代にヨガブームで世界を席巻したとある某人は、不眠症患者の治療について「眠くなるまで寝なければ良い」というようなことを言ってましたが、これはある意味正解かもしれません。なぜなら、生物は眠らないと死んでしまう場合がほとんどですから(世の中には全く眠らない人もいるそうですが)、通常はずっと起きていたら、知らぬうちに眠ってしまうものだからです。眠れぬ眠れぬと、イライラして交感神経を興奮させる人より、まぁ寝なくても何とかなるかな、というユルさがある人の方が交感神経が鎮まりやすく、不眠症になりにくいものです。「病は気から」と言いますが、とらえ方によって脳波、ホルモンの分泌状態、神経の興奮度合い、心拍数、呼吸の速度等は大きく変化しますから、出来得る限り物事のとらえ方を変えてみようとすることも重要です。夕飯は炭水化物や糖分を控えめにし、量は少な目で、遅くとも20時ころまでには済ませて23時くらいには就寝するのが理想です。そうすることで睡眠時、血糖値が急激に上下する可能性が少なくなり、副交感神経が安定して安眠出来るようになります。同様の理由で就寝前の激しい運動、まぶしいくらいの照明(夜は白熱灯などの間接照明のある暗めの部屋で過ごすとメラトニンが分泌されやすくなる)、テレビの雑音や光刺激などは控えるのが賢明です。寝具は寝返りが打ちやすいように、柔らかすぎず、硬すぎないマットレスを敷くことをお勧めします。マットレスフランスベッドラクネスーパーがおススメです。適度な硬さで、三つ折りにも出来て便利ですし、比較的良心的な価格です。

 

睡眠について 

温冷浴

中国医学には“通则不痛,痛则不通”という言葉があります。これはつまり、全身の血流に滞りが無ければ、病態は発現しえない、という意味です。温冷浴は主に、自律神経の安定と全身の血流改善に役立ちます。よって、長期間継続すれば、体質改善も可能です。ちなみに温冷浴は、院長が最も患者さんにおススメしたい健康法です。自宅で行う場合、冷浴はシャワーが基本になってしまいますが、出来れば、水風呂を併設した温泉施設などで行うほうが効果的です。外気温の高い夏に始めるのが理想です。また、木枕は首のコリやストレートネック、頸椎の前弯矯正に役立ちます。1日数十秒~数分の短時間使用がベストです。木枕使用法の詳細については、右記リンクをご参照下さい(https://tokyo-tsubame89.com/kimakura-2/)。

*心疾患や脳血管障害、肥満症、高血圧などの持病がある場合や、乳幼児や高齢者の場合、温冷浴はリスクがありますので、おすすめしません。 

 

入浴剤は温泉成分を抽出した無添加の湯の華がおススメです。発がん性が報告されている着色料や各種添加物入りの入浴剤は避けましょう。

腹八分目

食を正すことが最も重要です。現代のほとんどの病は過食偏食によるものであると言っても過言ではありません。食べ過ぎは自律神経を乱し、様々な不調を呼び起こし、結果的に寿命を縮めることになります。当然ながら、食の異常は脳の働きを阻害し、精神異常を引き起こしかねません。なぜなら、食べる量が多いとそれだけ消化に時間がかかりますし、内臓がずっと働いていれば、血液は内臓を中心に集まってしまい、脳への血流量が減少し、結果として脳への酸素・栄養供給が減少し、脳の働きが低下します。また、常に内臓が不休であれば、自律神経が興奮して、それらの支配領域にある筋肉(ほぼ全身)が異常収縮を起こします。さらに、過食や刺激物、冷たい食物の摂り過ぎで腸の炎症傾向が常態化していると、腰部や骨盤内外の交感神経が優位になり、腰痛や泌尿生殖器系の異常、免疫機能の低下、消化器系の病態が発現しやすくなります。腸は精神的な影響を受けやすい器官ですから、精神的な歪みやその他のストレスによっても、腸の病態は悪化する可能性があります。例えば潰瘍性大腸炎クローン病アトピー性皮膚炎、腸閉塞、大腸がん、過敏性腸症候群などは、強い精神的なストレスや過食・偏食が原因となりやすいようです。現代では栄養学が発達した結果、「どんな栄養をどれだけ摂るか」ばかりが論じられる傾向にあります。しかし、重要なのは食べる総量であり、どんなに栄養価が高い食物でも、消化が良い食物でも、食べ過ぎれば消化不良を起こし、栄養の吸収が低下するどころか、内臓に多大な負担を与えることになります。例えば、数年前から流行っている「1日2㍑のミネラルウォーターダイエット」も、腎臓の働きが低下している人が行えば水毒症になったり、腎臓の病気になったりする可能性がありますし、血液中の塩分濃度が急に薄まって低ナトリウム血症になる可能性もあります。また、食物繊維が豊富な野菜は便秘に良いからと、毎日3人前も4人前もサラダを食べれば腸が処理しきれず炎症傾向を呈し、逆に便秘が悪化します(この成れ果てが潰瘍性大腸炎や大腸がんであったりする)。さらに、糖分は脳の疲れに効くとか栄養になるなどと言って、ブドウ糖を過剰に取り過ぎたり、フルーツを取り過ぎたりすると、中医学的には体に熱が溜まりやすくなり、痰が出やすくなります。同様に脂っこいものやカロリーの高い食べ物は体内で作られるエネルギー量が多いため、体の中で熱が発生しやすくなり、肌荒れやイライラ、ADHDの原因になることがあります。例えば、食材は油で炒めると食物の水素結合が壊れるため、体内に入った時に体内の水分を奪うと言われています。したがって、中国では炒めた料理や油で揚げた菓子類などは「のぼせ」の原因になるとして、体に熱が溜まっているような病態の人には摂取を控えるよう医師は指導します。日本の店で売られている菓子にも油を使ったものが多いですが、のぼせやすい体質の人は控えるべきでしょう。また、日本では精製された白砂糖よりも黒砂糖の方が健康に良いなどと食養やいわゆるマクロビオティックで騒がれた時期がありますが、中医学的にみれば黒砂糖は体を温める性質があるため、食べ過ぎるとのぼせやすくなります。逆に氷砂糖は体を冷やす性質があり、風邪をひいて白い痰が出る時は黒砂糖を生薬に混ぜ、黄色い痰が出る時は氷砂糖を混ぜたりします。これらは中国医学では常識ですが、日本では誤った知識が蔓延っていることが珍しくありません。ちなみに、日本でも漢方薬が流行っていますが、基本的には調達の難しさもあり、200種程度の生薬しか使われていないそうです。一方、中医薬の本場である中国では、本草綱目だけを見ても12000種程度の生薬が使われています。このことも、日本ではあまり知られていません。また、生薬栽培に少なからず使用されていると言われている、農薬の害についても知っておくべきでしょう。

 

 

 

現代の成功者を観察すると明らかですが、毎日充実した生活を送っている人々は、例外なく少食で食生活が安定しています。つまり、自分に適切な食を一定させることで、健全かつ有意義な時間を過ごすことに成功しているのです。食べ過ぎは自律神経の状態を不均衡にし、精神状態を乱し、生活の状態を大きく崩し、最悪の場合は人生を破綻させるやもしれません。「食欲」は最も抑えがたい欲求ではありますが、「食を制するものは、人生を制す」と言っても、過言ではありません。食の安定は肉体・精神両面を健全に保ちます。ちなみに、食養論(マクロビオティック)などで言っているようなことを厳守する必要はありません。確かに肉や砂糖、「部分食」は良くはありませんが、情報に「囚われ」、強迫観念的になってしまうことが、一番危険です。1~5の項目すべてに言えることですが、ある程度の「ユルさ」、「テキトーさ」をもって、 のんびりと取り組む気持ちは重要です。とにかく、肩の力を抜いて(=頭寒足熱で、丹田に意識を集中して、重心を下げるようにして)、継続させることが重要です。朝食は味噌汁一杯か野菜のスムージー、またはシリアル(麦アレルギーや遺伝子組み換え原料には注意しましょう)にヨーグルトをかけたもの、昼食は自由に一人前だけ、夕飯は炭水化物や動物性脂肪、糖分、カルシウムを控え(夜にカルシウムを摂取すると結石が出来やすいため)、タンパク質および野菜中心にし、全体的に量は少な目で、遅くとも20時ころまでには済ませてしまうのが理想です。基本的には一汁一菜または一汁二菜が理想です。美味しい白米や玄米と、具材を多めにした味噌汁をメインにし、漬物や少しの副菜を添えるくらいにするのが、最も健康的であると考えています。 ちなみに、玄米にはカドミウム、農薬、重金属類が残留しているケースもあるようですので、基本的には白米を推奨します。 

 

 

また、食品添加物や化学的に合成された薬物、遺伝子組み換え(GMO:genetically modified organism)食品、農薬まみれの食品はできるだけ避けましょう。以前、食品添加物評論家の安部司氏が『博士も知らないニッポンのウラ』で、当時のコンビニ弁当に含まれる食品添加物は200種余りであると暴露していましたが、実際に、日本の食品表示法は穴だらけで、人工甘味料や着色料など、すでに海外では使用禁止になっている添加物が未だ使用されています。また、薬の飲み合わせと同様に、食品添加物食べ合わせによる化学変化にも未知が多く、実際に2006年には、アスコルビン酸(ビタミンC)と安息香酸を同時に使用した清涼飲料水から発がん性物質であるベンゼンが検出されています。ちなみに、サプリメントの類も添加物や人工的に合成された非天然物由来であることが少なくありませんし、サプリメントの取り過ぎによる肝機能障害も報告されていますから、基本的に栄養は天然の食物から摂取することを推奨いたします。

 

 

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さらに、人工的に作られた霜降り牛肉や、有害なカフェインやシュウ酸が含まれるコーヒー、人間には消化し難いと言われるカゼインや成長促進剤などが含まれアレルゲンと成り得る牛乳(ヨーグルトは乳酸菌で有害物質が分解されており、メリットが多い)、脳や筋肉を委縮させたり溶かすといわれているアルコール、ビタミンB群を破壊し各種生活習慣病の元凶になりうる糖分の多いジュース、砂糖類などは止めるか、控えめにしましょう。特に危険な人工甘味料や果糖ぶどう糖液糖、カラメル色素入りの砂糖、精製された砂糖などはできるだけ避けましょう。有機栽培、無農薬のレモン果汁はビタミンCが豊富で、細胞粘膜の保護にも役立ち、癌の予防になると言われています(柿の葉茶やビワの葉茶はアミグダリンの副作用があったり、蕁麻疹が出たという報告があります)。

 

 

癌の予防には抗酸化作用のあるアブラナ科ブロッコリーやキャベツ、キノコ類が役立つと言われています。また、腸内には免疫細胞の7割が存在しますから、ヨーグルトなどを食生活に上手く取り入れて、腸内環境を整え免疫力の向上に努めましょう(乳製品はヨーグルトのみが理想)。食の詳細についてはメルクマニュアル医学百科が参考になります。ちなみに昔、便の状態が良いことを「山吹のなぎなた一本切れ目無し」と表現した人がいますが、正にこのような便が毎日1回ストレスなく出るようであれば、食の状態も良く、腸内環境も良好で、免疫機能も正常であると判断出来るでしょう。「私は食事に気を付けている」とか「乳製品は有害だからヨーグルトも一切食べない」などと言いつつ、矛盾を証明するかのように便秘薬を常飲していたり、慢性腰痛やら自律神経の異常、情緒不安定に悩む人もいるようですが、結局は便の状態が良くなければ、食に異常があるはずであり、日常生活を見直す必要があるかもしれません。心身に現れる不調は環境因子などの外因によるものより、己の食や精神状態による日常生活の如何によって作り出される内因によるものが多いようです。内因が軽度であれば内因を改めずとも鍼灸で改善したり、完治したりするケースも多いですが、内因が重度であればどんなに良い施術・治療を試しても、改善することは困難です。こういった場合は鍼灸をするより、先に食を改め、日常生活全般を見直すことをお勧め致します。また、食については水野南北が記した相法修身録(南北相法極意修身録)も大いに参考になります。

 

 

また、うつや倦怠感に関係するセロトニンは、約90%が腸粘膜のクロム親和性細胞に存在します。したがって、赤身の魚や肉類、納豆などを食べて、必須アミノ酸であるトリプトファンを摂取し、セロトニンが生合成されるよう促すことも重要です。セロトニンは平滑筋を収縮させる作用があるため、腸管運動に重要な役割を果たしていますが、同時に伝達物質として錐体外路系に作用し、体温調節や睡眠、摂食抑制、攻撃行動、幻覚などに関与しているとされます。腸内環境をより良く保つため、ヨーグルトや納豆などの発酵食品も毎日摂取することが重要です。また、鍼灸治療を定期的に行うことで、全身の血流を改善し、自律神経やホルモンのバランスを整え、免疫機能を向上させ、ストレスや外的環境の変化に強い体を維持することが可能です。週4~6日程度、15~30分程度のウォーキングなどの軽い有酸素運動をすることで、全身の血流を改善し、症状を軽減させたり、予防することができます。ウォーキングや腹巻の装着以外にも、腹部を毎日ゆたぽん(おなか用がおススメ)のようなホットパックで温めるのも良いでしょう。さらに、ヨーグルトや納豆などの発酵食品を食べて腸内環境を整え、免疫機能の向上とホルモンバランスの改善を図りましょう。

 

 

柔軟体操

柔軟体操といっても、ラジオ体操のように、「反動」をつけて行うのは厳禁です。なぜなら反動をつけて体操すると、筋肉は反射でカタクなってしまうからです。理想的な柔軟体操はヨガのように自分の呼吸を意識しながら、自分のペースで、ゆったり行う体操です。1つのポーズで、10~20秒くらいその姿勢を保持し、ゆっくりと反動をつけずに筋肉を伸ばすのがコツです。筋肉が比較的柔らかい夕方以降で、お風呂上がりや就寝前に行うのがベストです。1日5分でも構いません。続けることが大切です。

 

 

また、五感を出来るだけうまく刺激すれば、効果的に身体をゆるめることが可能です。白檀や沈香などのお香や、ヒノキやサンダルウッドなどのアロマオイル(アレルギーのある人は避けて下さい)を焚いたり、ヒーリングミュージックをかけながら体操すれば、一層効果的です。室内の照明は蛍光灯よりも白熱灯が良く、若干薄暗いほうが副交感神経を刺激し、リラックス出来ます(夜はメラトニンが分泌されやすくなり、安眠しやすくなる)。とにかく、日常的に緊張したり、興奮したりする場面が多い人は、その逆の刺激(リラックス出来るような刺激)を与えるような時間を設ける事を心がけ、自律神経の均衡を保つよう意識的に生活していく事が肝要です。

 

 

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受領委任制度が導入された

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2019年1月、はり、きゅう、あん摩マッサージ指圧の受領委任制度が導入された。

 

これまで、一部の整骨院による受領委任制度を悪用した不正請求が後を絶たず、鍼灸業界への導入は絶望的だったが、ようやく導入された。

 

kouseikyoku.mhlw.go.jp

 

現在、導入開始当初のみの特例が設けられているから、今後療養費を扱う予定がない鍼灸師でも、厚生局に受領委任の申し出をしておくのが賢明かもしれない。

 

東京都に関して言えば、すでに開業届を保健所に提出しており、実務経験がある鍼灸師であれば、2020年12月28日必着で関東信越厚生局東京事務所に受領委任の申し出を行っておけば、今後、「実務経験期間証明書」と「施術管理者研修修了証」の提出が免除されるそうだ。

 

kouseikyoku.mhlw.go.jp

 

個々人の状況によって提出書類が異なるから、念のため厚生局に問い合わせておくのが無難だが、必須なのは以下の2点と、はり師きゅう師の免許証のコピー(A4サイズ可)、施術所開設届のコピーの合計4点だ。

 

 

申請が2021年以降の受付となった場合、1年以上の実務経験と所定研修施設での16時間(2日間以上)の研修証明が必須になる。

 

ちなみに当院では、事務手続きの煩雑さなどの理由で、当面は療養費を扱う予定はない。

梨(ナシ)の効用

f:id:tokyotsubamezhenjiu:20200831192545j:plain以前松江に住んでいたせいか、ナシといえば、やはり鳥取県の二十世紀が好みである。 

 

東京のナシといえば多摩川梨が有名で、現在、稲城市に約110戸、日野市に25戸のナシ農家があるそうだ。あまり知られていないが、府中市でもわずかながら栽培されている。

 

多摩地域で特に人気なのは稲城と呼ばれる品種であるが、生産量が少ないこともあり、基本的には直売でしか購入できず、市場には出回っていない。稲城は大玉で果汁が多く、甘みと口当たりの良さが特徴だ。

 

東京でのナシ栽培は元禄期(1688~1704年)に、多摩郡長沼村の代官増岡平右衛門と川島佐次右衛門が、山城国(今の京都付近)から、淡雪と呼ばれる品種を持ち帰ったのが始まりだそうだ。 

 

二十世紀梨は東京のナシに比べて酸味があり、スッキリとした爽快感があるけれど、どうやらあれは、リンゴ酸やクエン酸が多く含まれていることによるらしい。

 

現在、日本で栽培されている多くのナシは中国原産だそうだ。中国では、古くからナシは薬として用いられている。

 

李時珍の『本草綱目』によれば、特に薬効が高いのは乳梨(雪梨)、鹅梨(绵梨)、消梨(香水梨)の3種だけらしい。

 

果実は咳止や消炎、喀痰などに対する効能が高く、特に痰が黄色であるとか、口渇感があるとか、熱症状が強い時によく効くとされる。さらに、解毒作用、イライラや鬱症状の緩和にも効果があると記されている。

 

花は肌荒れ、毛穴の汚れに効果があると記されているが、使用方法については言及されていない。

 

葉は、すり潰した汁を服用することで解毒、鼠経ヘルニアに、煮汁は細菌感染による嘔吐、下痢などに、煎汁は六淫の1つである风邪に効果があるとされる。

 

中医学では現代人の60~70%程度が痰病または火病であるとしていて、ナシを適度に摂取することで、多くのメリットを享受できるとしている。

 

しかしながら、药三分毒(薬には三分の毒が含まれる)というように、ナシにも禁忌がある。

 

乳幼児、血虚者、妊産婦(出産前後の女性)、脾胃虚寒や胃酸分泌過剰、夜尿、手足の冷え、糖尿病、胃腸の冷え、出血傾向などが見られる者は、ナシを食べ過ぎないようにして、食べるならば糖分の少ない梨を煮て食べるのが良い、と言われている。

 

以下は、中国の主な古典に見られるナシの効用だ。一般的に中医関係の資料は日本語に翻訳すると誤訳が多くなりがちであるから、中国語で読んだ方が正確に理解しやすい。

 

1.《千金食治》:除客热气,止心烦。

2.《唐本草》:削贴汤火疮,不烂、止痛、易差。又主热嗽,止渴。

3.《食疗本草》:胸中痞塞热结者可多食好生梨。卒风失音不语者,生捣汁一合顿服之,日再服。

4.《日华子本草》:消风,疗咳嗽,气喘热狂;又除贼风、胸中热结;作浆吐风痰。

5.《开宝本草》:主客热、中风不语,又疗伤寒热发,惊邪,嗽,消渴,利大小便。

6.《滇南本草》:治胃中痞块食积,霍乱吐泻,小儿偏坠疼痛。

7.《本草纲目》:润肺凉心,消痰降火,解疮毒、酒毒。

8.《本草通玄》:生者清六腑之热,熟者滋五脏之阴。

9.《本草求原》:梨汁煮粥,治小儿疳热及风热昏躁。

 

ナシは林檎に比べて環境への適応性が高く、耐寒、耐乾、耐水、耐アルカリ性であるため、冬季の最低気温が零下25度以上でも、火山灰土や石灰混じりの土でも、生育するらしい。実際に、零下30度以上になるハルピンには、樹齢100年を超えるナシの木があるそうだ。 

まともな鍼灸師の思考法

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以前、「鍼で気胸を起こすアホがいるが、ワシは鍼で気胸を治すんじゃ!ゴッドハンドじゃ!」とか、中国語を解せぬのに「新中国の中医学に基づいた最高の鍼灸治療が受けられるのはウチだけじゃ!他はアホじゃ!」などと嘯(うそぶ)く鍼灸師がいた。

 

そもそも気胸は軽症なら安静にしていれば自然治癒するはずであるし、重症なら医師の元で適切な処置を施さなければ、死に至る可能性がある。まず気胸の疑いがある場合は、その程度を見極めるためにも病院での早急な受診が最優先となることは医学的な常識だ。

 

とにかく日本には、未だ医学的な常識が欠如した鍼灸師が少なくない。気胸のような鍼灸不適応の緊急を要する病態であっても、「ワシは鍼灸で何でも治せるんじゃ!何かあったらすぐウチに来なさい!」などと騒ぎ、助かるはずの患者の病状を悪化させたり、死に至らしめたような事例は過去にいくつもあったようだし、実際に左様な鍼灸師がいた現場を目撃したこともある。

 

ちなみに日本の鍼灸業界では、コロナ騒ぎで本質が露呈し、

www.youtube.com

 

杖に巻き付いた蛇とフラットアースらしき地図のロゴが不可解な、

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www.youtube.com

 

https://www.youtube.com/watch?v=m7im-23FI1c&list=WL&index=25&t=427s

WHOが流した情報を拠り所にして鍼灸の適応症を自信ありげに喧伝することはあっても、不適応症を明示することは稀だ。鍼灸治療は決して万能ではないのだ。

 

医学的な知識が欠如したド素人の「教祖様」が医師の役割を演じ、信者を死の淵に追い込むような類似事件は過去にいくつも報道されている。

 

日本の鍼灸業界においても、医師免許を欲しいが取れぬ鍼灸師学歴ロンダリングのためだけに医学博士の称号を取ってみたり、「前世は医者だった」などと言って、あたかも医師またはそれ同等の知識、技量を持ち合わせているかのように装い、自分は万能であると吹聴している危うい鍼灸師が少なからず実在する。

 

例えば、「ウチの患者は何かあっても病院へは行かず、すぐに私のところへ来る。彼は鍼灸を信頼しているのだ」などと言って、己を権威付けして憚らない御仁も実在する。

 

そういう鍼灸師が祀り上げられているような日本鍼灸界の現状は、極めて異常な状況であると私は感じているわけだが、私と同様の意見を持つ鍼灸師はあまりいないようだ。

 

医師に見放されたような患者を1人でも多く治したいとか、より優れた鍼灸師になりたいと真に願うのであれば、怪しい輩の記した鍼灸書や、ロクに治せず不勉強なまま講習会を開き、金集めに躍起になっている鍼灸師などに惑わされてはいけない。

 

地道に中国語を勉強し、最新の中医書や針灸書を小まめに買い集め、臨床の合間に参考にすることが、確実なレベルアップにつながる。

 

鍼灸師という道を自ら選んだのであれば、常にその本分を弁(わきま)え、患者を治すことを第一に据えておかねばならない。

 

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新聞奨学生時代の思い出(8)

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貧しい苦学生に見えたのか、集金中に突然食べ物を渡されることがよくあった。

 

特に、古い戸建てが密集する地域では、80歳前後のおばあさんが食べ物を差し出す確率が高く、また同時に、それは賞味期限切れの食べ物である確率も高かった。

 

大きな一軒家に独りで住んでいるおばあさんなどは、話し相手が欲しいのか、集金時に私を引き留めて長話に付き合わせようとすることも多く、月内80%の回収率を達成するためには、如何にして、その場から脱するかということが非常に重要だった。それゆえ、集金開始日は、まずは高齢者の少ない、確実に集金できる家から攻めてゆくのが鉄則だった。

 

住宅街の外れに、さびれたアパートの1階を住居兼ピアノ教室にしていた、80過ぎくらいのおばあさんがいた。おばあさんには少し痴呆症のような兆候がみられたが、ピアノ教室は現役で、細々と営業している様子だった。

 

ある日、私が集金で伺うと、唐突に「あなたピアノ教えてあげるわよ、タダでいいわ」と言った。私は学校の勉強で忙しく、ピアノを弾いているヒマなどなかったので、丁重にお断りしたものの、その後、集金に行くたびに同じことを言われるもんだから、1度だけピアノを弾いてみることにした。

 

おばあさんの住むアパートは、玄関とキッチンが直結しており、ほぼ足の踏み場がないくらいに雑然としていた。

 

おばあさんは、私にキッチンに置かれた小さな椅子に腰掛けるように言い、昭和的な小さなガラスのコップに、何故か人参ジュースを注いで私に差し出した。カゴメ野菜生活100だった。私は人参ジュースを一気に飲み干し、おばあさんの指示があるまでジッとしていることにした。

 

キッチンの奥には、4畳半の部屋の壁をぶち抜いて連結させたような長細い部屋があり、左の壁側にはアップライトのピアノが置かれていた。おばあさんは部屋の右寄りに置かれたソファーに座るよう、私に指示した。

 

ソファーと同じ高さのガラス製のテーブルの上には、古びたアルバムが数冊置いてあり、おばあさんはおもむろにアルバムをめくると、頼んでもいないのに個々のモノクロ写真についての解説を始めた。

 

どうやら、おばあさんは、かつては有名なピアニストらしかった。写真には若かりし頃のおばあさんと、どこぞの外国人やら、要人らしき人物やらが一緒に写っていたが、オルタナティブロックに関する素養しか持ち合わせていない、非文明人の私には、その写真に写る人々の偉大さなど微塵もわからなかった。

 

おばあさんはひと通りアルバムをめくったあと、皺枯れた自分の手を見つめ、「今はもうピアノが弾けなくなったのよ」と悲しそうに呟(つぶや)いた。当時の私は医学的知識など皆無だったから、おばあさんの手がどのような病態なのかは理解できなかったけれども、今思えば典型的なヘバーデン結節だった(ヘバーデン結節は医学的には原因が不明で、手を酷使する中年以降の女性に多い病態であるが、根本的な原因は前腕筋群の慢性的な異常収縮にあると推察される)。

 

私は、そんな手でどうやってピアノを教えるのかと思ったが、おばあさんは私をピアノの前に座らせ、「好きに弾いてみなさい」と言った。ピアノなんて弾いたことがなかったから、好きに弾いてみろと言われても、そう簡単に弾けるものではない。

 

私がロクに指を動かせずに困っていると、おばあさんは『子供のバイエル』と書かれた黄色い表紙の本を譜面台に広げ、「私が棒で指した場所を弾いてみなさい」と言って、鍵盤を棒で叩き始めた。

 

しばらく、言われたままに同じフレーズを弾いていると、率直に言って耄碌(もうろく)ババアにしか見えなかったおばあさんが、まるでピアノの達人の霊に憑りつかれたかのように、キリっとした表情になっていることに気が付いた。

 

そのあまりのギャップの大きさに驚きつつ、必死に鍵盤を叩いていると、おばあさんは突然、「あなた中々いいわね!また来なさい!」と叫んだ。

 

その後、適当に理由をつけて、おいとま申し上げることにしたわけだが、おばあさんはおもむろにバイエルの本を閉じて、「これで練習しなさい」と私に差し出した。

 

ピアノを持っていないのにどうやって練習すればいいのか、と言いそうになったが、キリっとしっぱなしのおばあさんに反論することもできず、お礼を言って本を受け取り、最初で最後のピアノ教室をあとにした。

新聞奨学生時代の思い出(7)

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新聞奨学生になって1年くらい経った頃、集金業務をすることになった。そうは言っても学業との兼ね合いで、100%の回収には無理があったから、月内に80%まで回収してくれればいいよ、と店長が言ってくれた。私が月内に回収できなかった分は、社員がやってくれることになった。集金手当は毎月3万円だった。

 

集金業務は毎月25日から始まる。給与支給日が25日の会社が多いことに合わせているらしかった。新聞代金の支払い方法は配達員による戸別集金、クレジットカード払い、口座引き落としの3種類があった。顧客の90%以上は集金を希望していたが、すんなり支払ってくれるのはそのうち70%くらいで、20~30%の顧客は居留守を使ったり、ほとんど在宅していなかったり、連絡がつかなかったりで、毎月回収するのが大変だった。

 

ある日、私はTエステートと呼ばれる団地での集金を終え、販売店に戻って、集めたお金を机の上に広げて数えていた。計算が終わり、領収書の半券と回収した現金を綺麗に揃えて事務所に提出し、事務所からの確認OKが出るまで、しばし店内でマッタリすることにした。

 

すると、大学中退後、パチスロ中毒になって新聞屋から抜け出せなくなっていた、私より2歳年下の通称ホーリーが集金から戻ってきて、店内でくつろいでいる私を見て、驚いたように、「あれ!? Q太郎さん、さっきTエステートの4号棟にいましたよね?」と言った。どうやらホーリーは、私がまだ集金中だと思い込んでいたもんだから、販売店内に瞬間移動したかのような私を見て、かなり混乱している様子だった。

 

私が、「いや、今日は4号棟には行ってないけど」と答えると、ホーリーは首を傾げながら、「おかしいなぁ、あの声は絶対Q太郎さんの声だったんだけどなぁ」と言い、おかしいなぁ、おかしいなぁと、稲川淳二のように何度も呟いていた。

 

Tエステートは、階段踊り場の両脇に玄関ドアが対面している昭和的な団地で、下の階の踊り場にいる人の声は直上に響くため、玄関前で会話していると、上階までかなりクリアに声が聞こえてくる構造だった。ましてや、毎日顔を合わせている仲間の声を聴き間違えるはずがなかった。

 

昔から、世界には自分にそっくりな人が3人いるとか、時空の歪みなどでパラレルワールドに生きている自分の分身が突如として現れることがあるとか、強い念を抱いた生霊または死霊が自由自在に飛んで行くなどという、俄(にわ)かには信じがたい話がある。

 

いわゆる、ドッペルゲンガー(Doppelgänger)とか、『雨月物語』の「菊花の約」などに見られるような現象だ。しかしながら、私は以前にも左様な経験があったから、さすがにホーリーの話を聞いて、気味が悪くなった。

 

1度目は中学生の時だ。同じクラスの同級生が、ある日、私がKOデパートの中で見知らぬ女と歩いているのを目撃した、と言った。しかし、私はその日は外出しておらず、KOデパートにも行ってなかった。そもそも、KOデパートは、中学生が遊びに行く場所ではなかった。

 

2度目は某カラオケ店でバイトしていた時だ。あるバイト仲間がカラオケ店の店頭でキャッチをしている時、彼の目の前を私が通り過ぎようとしていたため、声をかけたが無視された、と言った。しかし、私はその日は風邪で寝込んでおり、外出する気力など微塵もなかった。そもそも、カラオケ店前の歩道は自転車1台がやっと通れるくらいの幅しかなく、人はかなり近距離ですれ違うはずだから、知り合いを見間違えるはずがなかった。全く奇妙な話だった。

新聞奨学生時代の思い出(6)

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私が所属していた新聞販売店には、様々な事情を抱えた人が多く集まっていた。

 

刑務所から出所したばかりの男、怪しいモノの運び屋をやっていた男、田舎で何かトラブルを起こして逃げてきた男、ギャンブル依存症で借金取りから逃げてきた男、多重債務から逃れるため1000km以上離れた田舎から逃げてきた偽名男、某宗教を脱会して追っ手から逃げてきた男、古い寺が集まる某観光地で新聞配達をしていたが過度の霊障から逃れるため異動してきた男など、社会であぶれてしまったような野郎が集まる巣窟のようになっていた。

 

それでも、みな様々な事情を抱えている者同士であったせいか、平時は和気藹々としていて、アウトロー同士の妙な連帯感というか、安心感があった。

 

とは言っても、男ばかりの職場であったから、お互いストレスが溜まってくれば殴り合いを始めることもあり、特に朝刊時は喧嘩が始まることが多かった。

 

朝刊時、2時までに出勤してこない者がいると、誰かしら起こしに行かねばならないという、暗黙のルールがあった。単調な毎日に嫌気がさしたのか、テーブルの上に「追わないで下さい」というメモを残したまま、失踪する者がたまにいた。ちなみに、失踪した奴のことは隠語で、「飛んだ」と表現していた。

 

ちゃんと出勤してきていても安心はできなくて、朝刊配達の準備をしている最中、突然黒塗りの車が販売店の前に急停車し、無言で連れ去られる配達員がいたり、酔いが醒めぬまま配達して、エレベーター内で寝てしまう配達員がいたり、夕刊時には、カブに新聞を積んだまま居酒屋に入って出て来なくなる配達員がいたりした。

 

朝刊配達時、特に深夜2~4時頃は、基本的に誰も出歩いておらず、たまに他の新聞屋のカブにすれ違うくらいだった。区域によっては背筋がゾッとしっぱなしな、いわゆる心霊スポットが点在する区域もあって、毎日恐怖に怯えながら配達している者もいた。

 

私は新聞配達員になるまで、心霊系の話には懐疑的なスタンスだったけれど、生麦事件ならぬ「生首事件」に出くわしてからは、稲川淳二の話もあながち作り話ではないな、と思うようになった。

 

我々が所属していた新聞販売店は、某県沿岸の某市全体を配達区域としており、全部で14区域に分割されていた。その中でも、第2区は旧市街地に位置し、T線某駅の西側を配達範囲としていたが、深夜2時頃とあるマンションで新聞を配達していたところ、突如として女の生首が出現した、と訴える配達員が現れた。

 

その話を聞いて、最初はみな半信半疑であったが、配達員の怖がり方が尋常ではなかったので、霊感が全くないという古株の配達員が、代わりに第2区を担当することになった。

 

その後、数か月は何事もなく、みな「生首事件」を忘れかけていた頃、高校を出たばかりの青年が新聞奨学生として入社し、いわくつきの第2区を担当することになった。

 

もちろん、新聞販売店にとっては希少な若手配達員であったから、第2区で「生首事件」があったことは、新入り青年には内緒にしておくことになった。 

 

新入り青年が独りで配達ができるようになるまで、2週間くらいは古株の配達員が一緒に配達して回ることになった。この間、特に異常は見られず、物覚えの良い新入り配達員は、予定よりも数日早く、単独配達デビューとなった。 

 

結局、デビュー初日、新入り配達員は7時を過ぎた頃やっと、第2区の朝刊配達を終えて戻ってきた。しかし、販売所に戻って来るや否や、「生首が出ました!」と叫んだ。 

 

配達を終え、販売所内で各自マッタリと過ごしていた配達員たちはみなギョッとして、新入り青年を囲むようにして集まってきた。

 

新入り青年曰く、いつも通り、某マンションの前にカブを停め、集合ポストに新聞を放り込んだところまでは問題がなかった。しかしながら、マンション内部で後ろに気配を感じて振り向くと、オートロックの玄関あたりに、若い女の生首が浮いていた。

 

驚いた新入り青年は、すぐさまマンションを飛び出し、カブにまたがって走り去ろうとしたわけだが、再び気配を感じてサイドミラーを見やると、同じ顔の生首が後方に浮かんでおり、こちらを見てニヤリと微笑んでいたのだった。

 

みな、新入り青年の話を聞き終わると、黙り込んでしまった。

 

何故なら、この新入り青年には「生首事件」についての情報は一切与えていなかったし、何より、新入り青年が女の生首に遭遇した状況が、以前、我々が第2区の前担当者から聞いていた状況とほぼ同じだったからだ。 

 

結局、新入り青年は第2の「生首事件」に遭遇した直後、すぐに辞めてしまった。